本と人生 6
- os2429
- 5月28日
- 読了時間: 2分
長崎県出身盛岡市在住、進学や就職で徐々に東へ北へ進んでおり7都府県目です。移動時間の読書が好きなので、目的地を決めたら乗り換えが面倒で時間のかかる旅程(おおむね最安になります)を探して、移動を引き延ばしています。最近だと、新幹線で2時間半の盛岡―函館間を、ローカル線と路線バス、フェリーを乗り継ぎ8時間かけて移動しました。おかげで大間のマグロ御殿(?)や函館山の裏を眺め、港町函館に上陸することができました。

小説の楽しみ方は人によって様々、私が重きを置いているのは、舞台となる街がどのように描かれているのかです。作家さんが取材をくり返し選び抜いた情景が、たとえ住んでいても気づかない角度や精度で表現されます。読む間は空想して楽しみ、読み終えてからは自分の目で確認しに訪れてみたくなります。吉田修一さんの作品では、舞台として、また登場人物の出身地として長崎の街が描かれます。そこで読む長崎には懐かしさと新鮮さが入り混じる発見があります。『ミス・サンシャイン』は、小中高を長崎で過ごした者が体験した原爆学習の記憶を呼び起こします。真夏の体育館であの日について語る被爆者の姿を忘れていたこと。その語りを見聞きしたにも関わらず、私は言葉にして整理することさえできていないこと。吉田さんは「いちばん書きたいことはストレートに書きたくない」として、『ミス・サンシャイン』は自分なりに原爆について書けた(『ダヴィンチ2024年12月号』)と話しています。この小説を読んで、私なりに原爆学習の体験を整理してみたいと思いました。学生へ:卒業・就職してからも読書することはできますが、役に立つらしい内容の本を優先してしまい、面白そうだと思って選んだ本が後回しになり時期を逃してしまいます。自分の面白そうを最優先に、あてなく興味の幅を広げる読書を楽しんでください。
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